台湾の最高峰、玉山【標高3,952m】ぎょくざん/ユイシャン/Yù Shān/Mt.Jade
玉山って?
標高3,952m、台湾の最高峰の玉山(ぎょくざん)です。
日本統治時代には、富士山よりも高い山として「新高山(にいたかやま)」と呼ばれていました。
国立公園のエリア内にあって、事前に入園申請が必要です。
1日の人数制限がされているので、登山道が混みすぎることはなく自分のペースで歩けると思います。
台湾の人にとっては、登山は気軽なアクティビティとして愛されているようです。
現地では1年前から予約してもなかなか取れないくらい人気ですが、外国人専用の予約枠があります。
標高4,000m級の海外の山に行くというのは、手続きも含めてそこそこ敷居は高いですが、一歩一歩進めていけば大丈夫です。
登山口に立ったら、すでにもう、いくつかの山を越えてきたきたわけです。
言語の音
日本人にとっての台湾あるあるだと思うのですが、なまじ漢字が読めるからこそ、意味が違ってややこしいみたいなこともあります。
ここでは、地名や固有名詞の漢字は日本語の音に変換せずに、そのまま現地の読み方で記載します。
たとえば玉山(ぎょくざん)は玉山(ユイシャン/Yu Shan)
日月潭(にちげつたん)は日月潭(リーユエタン/Riyuetan)
正しい発音ではないですが、音が近いので、ワンチャン通じるかもしれないし、バスの音声案内とかで聞き取りができると安心できます。
1日1本のバス
日月潭(リーユエタン/Riyuetan)から上東埔(シャンドンプ/Shangdongpu)までの、1日1本のバスがあるので、それに乗ります。
今回は、頭社(トゥシェ/Toushe)から、塔塔加(タタカ/Tataka/Tatajia)まで乗ります。
塔塔加(タタカ/Tataka/Tatajia)のバス停|Googleマップ
2時間近くの乗車なので、途中、道の駅みたいな所でトイレ休憩もありながら進みます。
酔いそうな道とバスなので、不安があれば対策するのがよさそうでした。
高山病予防の薬や酔い止めなどの薬をもっておくといいです。オンラインで診察と処方をしてもらえる病院もあるようです。
バス停としては次の上東埔(シャンドンプ/Shangdongpu)の方がいいのですが、1つ前の塔塔加(タタカ/Tataka)でトイレ休憩が15分くらいあるので、ここで降りて歩きます。
塔塔加(タタカ/Tataka)から排雲(パイユン)ビジターセンターまで歩いて10分ちょいです。
標高は2,500m、気温は15℃でした。
ちなみに同じバスに乗っていた人たちは、今日このあと同じ山荘に泊まるし、明日の帰りのバスも同じである可能性が高いので、笑顔でじろじろ見ておきましょう。
排雲ビジターセンター|入園の手続き
排雲(パイユン)ビジターセンターに向かいます。
WebサイトやGoogleマップなどで表記のゆらぎがありますが、これらはすべて同じ場所です。
- 排雲登山服務中心
- 排雲ビジターセンター
- 排雲登山サービスセンター
- Paiyun Hiking Service Centre (Tataka Police Squad)
まずは入園申請番号を伝えるのですが、メールに記載さてれる部分を拡大してみせるのがいいでしょう。
次にパスポートで名前の確認をして、現金480元を支払います。
手続きが済んだら、入園許可証をプリントアウトしたものをもらえます。
この紙は、排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)でチェックインすると回収されるので、スマホで写真を撮っておくといいです。
排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)のベッド番号が記載されています。
本来は、入園許可証は電子で発行されて、それをプリントアウトして当日持っていくのですが、外国人に対しては、用意してくれているということですね。
このタイミングでメールが3通届きました。
入園許可通知、登山注意事項、下山報告について
警察署|入園の手続き
次に、排雲(パイユン)ビジターセンターの手前にあった警察署にいきます。
入園許可証を見せて、渡された用紙に名前や日程、パスポート番号などを記入してサインすると手続き完了です。
ここまで来れば、残りの手続きは、排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)のチェックインと、下山通知だけです。
登山口の「塔塔加鞍部」
排雲(パイユン)ビジターセンターの前から、登山口の「塔塔加鞍部(タタカ・アンブ/Tataka Anbu)」までのバスは、割と頻繁に出ている印象でした。
タイミングがあえば100元で乗れます。
登山口まで歩いても30分くらいで、玉山(ユイシャン/Yu Shan)に登れる脚力をもった人であれば、ゆっくり歩いても1時間はかからないと思います。
台湾の歩荷さんはだいたいBeats Pill+みたいなスピーカーで音楽を流しながら歩いてます。この歩荷さんはあいみょんのマリーゴールドを爆音で。
黒部峡谷の「下ノ廊下」のような光景。
霧と雨
YAMAPやヤマレコの登山記録でも、雨や曇り空の写真が多いですが、そういう地形みたいです。
晴れたと思ったら、すぐに霧に包まれたり、局地的に雨が降ったり。
2日間のうち、だいたいどこかで雨が降ると考えていた方がいいと思います。
休憩所
休憩所のこの子、少し人に慣れているようで。たまに何か食べ物をもらったりしているんだと思います。
危険な箇所
動画でみると自分でも少し怖い感じがしますが、歩いているときは足もとの一歩一歩に集中しているので、恐怖心はないです。
たとえば家の中に、幅30cmの道があったとして、そこを10m歩くことは簡単にできます。
そこに地形や高度感が加わったり、風が吹いたりすると、一気に難易度が上がって、恐怖心に飲み込まれそうになりますが、集中するといたってシンプルです。
排雲山荘
排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)に入るとカウンターが2つあります。
入り口から入って遠い方がチェックインのカウンターです。
入園許可証を渡して、館内の説明を聞きます。
入園許可証にベッド番号が「0112」と記載されているので、部屋は2階でベッドは112番、スリッパに履き替えること、靴は部屋番号の最初の数字と同じ1番に入れてね、という感じでチェックイン完了です。
次に、隣のカウンターで名前を伝えて、食事と寝袋の料金を支払います。
それぞれの食事の時間の説明があって、食券と寝袋を受け取ります。
お湯
温かいお湯が常に補充されていて、自由に飲めます。
ナルゲンボトルに入れて、湯たんぽとしても使えるくらい温かいお湯です。
2階へ
この荷物棚はひとりひとつ使えるようでした。
明日は主峰の玉山(ユイシャン/Yu Shan)に向かいますが、またここに戻ってくるので、チェックアウトの10:00までは荷物を置いておくことができます。
2階の部屋と、自分のベッド。
スマホの電波
スマホのモバイル通信の電波も、GPSの電波もあります。
Wi-Fiはいくつか飛んでいますが、使えるWi-Fiはないとのことでした。
夕食
混雑を避けるために、夕食の開始時間は17:00からと17:30からの人に分けられているようでした。
明日のために、いっぱいご飯を食べておきましょう。
しっかり食べれるとか、疲れても食べれるとか、登山やワークアウトでは重要なことだと思ってます。
魯肉飯(ルーローハン)どーん!
スープもあるのですが、このご飯茶碗でスープを飲む感じなので、一番最後になります。
話し声を聞いて、気がつくと同じテーブルにたまたま日本人が集まる奇跡。4人チームと、ソロと、ソロ。
19:00消灯
19:00にバシッと消灯します。
寝る前に少し頭が痛くなってきたので、Apple Watchで血中酸素を測ると85%。
2,3分ほど深呼吸を繰り返して、ようやく96%くらい。この数値になると頭痛が治まってきました。
排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)の標高は3,402mで、この標高で寝たことがある人は少ないと思うのです。
おは
おは。起きると、初めての高山病の初期症状です。
頭が痛くて気持ち悪い。まさしくお酒を飲みすぎて二日酔いになったときと同じ症状です。
外に出て深呼吸。
朝食
おかゆと、それにまつわるおいしいやつです。
きゅうりのQちゃんでおかゆが進んでおかわり。
夕食と同じく、おかゆの茶碗で最後にいただくのはミルクティーです。
おかゆを食べたら、たいぶ高山病の症状は治まりました。
玉山の山頂
朝の山荘の気温は8℃。
3:30頃にスタート。出発は最後の数組でした。寒いので、山頂でご来光を待つ時間を作りたくないからです。
排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)から玉山(ユイシャン/Yu Shan)山頂までは、登り2時間、下り1時間でした。
霧のような小雨でしたが、気温8℃で雨に濡れると、低体温症がやばいのでレインウェアを着ます。
ようやく森林限界を過ぎて雰囲気が変わって、風が強くなります。
鎖場も出てきて、いよいよ山頂直下の各心部へ。
もうちょいだけど、まだもうちょい。
ブランチ
排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)に戻って、温かい麺!
下山報告をする
よき頃合いにリマインドメールが届くので、下山報告をします。
このページから、入園申請番号、国籍、パスポート番号、体温を入力して送信します。
玉山へのアクセス
玉山(ユイシャン/Yu Shan)へは、大きく分けて2つのアクセス方法があります。
台北(タイペイ/Taipei)から、台中(タイジョン/Taichung)と日月潭(リーユエタン/Riyuetan)を経由していくルートと、
台北(タイペイ/Taipei)から、嘉義(ジアーイー/Jiayi)と阿里山(アリシャン/Alishan)を経由するルートです。
日月潭ルート
- 台北(タイペイ/Taipei)
- 台中(タイジョン/Taichung)
- 日月潭(リーユエタン/Riyuetan)
- 塔塔加(タタカ/Tataka)
阿里山ルート
- 台北(タイペイ/Taipei)
- 嘉義(ジアーイー/Jiayi)
- 阿里山(アリシャン/Alishan)
- 塔塔加(タタカ/Tataka)
今回は日月潭(リーユエタン/Riyuetan)のホテルに前泊して、朝イチのバスで塔塔加(タタカ/Tataka)に向かいます。
費用
交通費以外の費用は、この通りです。
排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)の宿泊費:480元(約2,400円)
排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)での、夕食、朝食、ブランチ、寝袋のレンタル:850元(約4,250円)
事前の手続き
手続きの流れは、
- 登山の申請
- 申請の受理
- 排雲山荘での食事と寝袋を予約
- 手続き完了と確認
です。
1. 登山の申請
4ヶ月前〜35日前までに入園の申請を行います。
玉山(ユイシャン/Yu Shan)は国立公園の中にあるので、その入園申請ということになります。
日曜日から木曜日で、1日につき116人までと予約人数が制限されています。
その中で、24人の外国人専用の予約枠があるので、そこを狙っていきましょう。
まずはこのページから空き状況をみてみます。
一番上にある「日本語」を選択して、メニューの「ルート及び宿泊キャンプ地/空き状況検索」を選択します。
「玉山宿泊地について」へと進んで、「排雲山莊」を選びます。
「先行申請」が外国人枠です。
もし外国人先行申請から漏れても、通常の予約枠で受理されることもあります。
どれか日付を選択すると、その日に申請している人のリストが表示されます。
日程が決まったら、メニューの「入園の申請」から必要な情報を入力していきます。
ソロ登山の場合は自分が登山隊のリーダーでもあり、メンバーでもあるので、手続きを進める中で、メールが各2通ずつ届くことになります。
ヤマレコ|台湾 玉山登山の準備について(行き方・アクセス・申請・抽選・個人手配)
2. 申請の受理
予約が受理されたら、排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)の宿泊料金の支払いについてのメールが届きます。
メールに案内があるように、外国人は現地支払いが可能なので、「排雲(パイユン)ビジターセンターで現金にてお支払いします」という内容を返信します。
メールに直接返信ではなく、メールボックスのURLから返信します。
この「メールボックス」は、つまりは履歴が残るチャットです。
3. 排雲山荘での食事と寝袋を予約
次に、このページから食事と寝袋を予約します。
セット割があって、夕食、朝食、ブランチ、寝袋レンタルがセットになって850元です。
Special Offer A Dinner + Breakfast + Brunch + one sleeping bag NT$ 850
排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)では、夕食が17:00〜19:00、19:00に消灯で早めに寝て、朝食が1:30〜2:30、排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)から玉山(ユイシャン/Yu Shan)の山頂まで行って、また排雲山荘に戻ってきて、ブランチが7:30〜10:30、です。
ブランチを付けるか迷いましたが、温かくてあっさりした米麺なので、冷えた体にちょうどよかったです。
帰りのバスが13:27出発で、ゆっくり食べても9:00までに排雲山荘(パイユン・シャンソン/Paiyun Shanzhuang)を出発すれば十分間に合います。
食事と寝袋の予約は、Word形式のファイルがGoogleドキュメントで開かれるので、複製して記入します。
送信先はGmailです。それっぽい件名を入れて送信します。
「Paiyun Lodge Dining and Sleeping Bag Rental Reservation」
こちらも現地での支払いとなります。
4. 手続き完了と確認
ここまでくれば、事前の手続きは完了です。
いろんな情報を取捨選択してたどり着いて、すでにひとつ山を超えてきた感がありますが、本当に手続きに問題がないのか、不安しかありません。
自分が予約した日付をクリックして、ステータスを確認しておきます。「入園を許可します」になっていればOKです。
登山前日の前泊
東埔山荘(ドンプー・シャンソン/Dongpu Shanzhuang)に前泊するのが一般的なようです。
今回は、しっかり寝ておきたいので日月潭(リーユエタン/Riyuetan)の民宿、香林田莊(シャンリン・ティン・チュアン/Shiang Lin Tin Chuang)に泊まって、朝イチのバスで登山口まで向かいました。
台湾で民宿というのは、日本の民宿とは雰囲気こそ違いますが、あたたかいおもてなしが受けられる場所です。
オーナーさんは積極的にGoogle翻訳アプリで会話をして、親切にしてくださいました。
朝食は食べずに出発すると伝えると、自家製バナナを3本いただいて、コーヒーと一緒にパクッと2本食べて、残りの1本はザックのポケットへ。
高山病対策
高山病を防ぐ20の心得――。重症化を防ぐことが一番の高山病対策です! - 山と溪谷オンライン