大秘境の伊藤新道を遊びたおす【裏銀座縦走コース】
新しい古道「伊藤新道」
2023年8月20日、正式に開通となった伊藤新道。正しくは、復活した古道。
登山道ではあるけど道なんてないし、ほぼ目印もない。
歩くルートを自分で判断して、何度も沢を渡渉する。そう、何度も何度も。
まだ鮮明に焼き付いている大秘境の記憶と、手足に絆創膏10枚分くらいのすり傷。
伊藤新道のコース「渡渉につぐ渡渉」
「高瀬ダム」をスタートして、沢にたどり着いたら、渡渉を繰り返して進みます。
沢が終わったら、次は三俣山荘まで急登が続きます。
標高1,500mの沢から、一気に標高2,500mの三俣山荘まで登ります。
1日目のワークアウトはこんな感じでした。
基礎代謝も含めると5,000kcal超えです。
十分な行動食を持っておくのもそうですが、前日からいっぱいご飯を食べておきましょう。
悩みどころの足回り「ビブラムソールのメガグリップ」
伊藤新道に行こうと思って、おそらく多くの人が悩むのが足回りの装備だと思います。
すれ違う人はほぼ、水抜けのいいトレランシューズで沢に入ってました。
この湯俣渓谷は、硫黄成分が流れていて、岩魚とか生き物が住むことができない沢です。
なので、苔も生えていません。
そういう意味では滑りにくい印象でした。
三俣山荘のWebサイトでも、沢靴は推奨されていません。
というのも、状況は変わり続けます。
沢を渡渉して、岩場を歩いて、砂地を歩いて、鉄のピンに乗って、吊り橋を渡っていきます。
個人的には、ルナサンダルのOso FLACOで行きました。
良かったと思うことは、
ビブラムソールのメガグリップで、沢でもグリップ力が高いこと。
足裏の感覚が伝わること。
目に見える水面の流れと、水中の流れは違うことがあるので、足の感覚で水流を探れること。
とにかく履き慣れていること、などです。
すね毛は、足を保護するためのタイツの役割です。
アクセス「バスとタクシー」
信濃大町駅から「裏銀座登山バス」に乗って「七倉(ななくら)登山口」まで。
さらに、そこから特定タクシーで「高瀬ダム」に行きます。
ここからスタート。
トンネル「巨大なヘビに飲まれる」
巨大なヘビに飲まれたような、真っ暗な長いトンネルをいくつか通ります。
渓谷にたどり着くまで、まだちょいちょいトンネルを通るので、ヘッドランプはしまわずに。
硫黄の渓谷「良いブルーでてる」
良いブルーでてます。
ジップライン「秘境のアトラクション」
楽しそうなので、ジップラインに乗ってみました。
カラビナで保持して乗る、セルフタイプです。
半分から先は、ロープを引っ張って手動で進みます。
楽しませてもらって500円入れます。
ちなみに、伊藤新道のコースでは、まったく通る必要のないルートなので、またジップラインに乗って戻ります。
沢のスタート地点「秘境から大秘境へ」
沢のスタート地点です。
すでに目を疑うような秘境ですが、この先もっと深まって大秘境になります。
ここでヘルメットを着用。
今日のApple Watch Ultraはオーシャンバンド。
秘湯「湯俣温泉」
かなり熱めの温泉が湧いてます。
そこらじゅうがもくもくで、かなりあっちいです。
源泉は100℃近くあるようで、近づくだけでもあっちいです。
目印「必ずヒントはある」
たまに目印もあります。ここ通らないと、進む術がありません。
安心の人工物「細い吊り橋」
人工物が現れると安心します。
ガンダム岩「ホッチキス針登り」
ホッチキスの針登り。
しばし日陰で休憩。
渓谷を横ばい「サワガニのヨコバイ(仮)」
渓谷を横ばい。サワガニのヨコバイ。
渓谷をバランス歩き「サワガニのタテバイ(仮)」
渓谷をバランス歩き。サワガニのタテバイ。
歴史の残骸「古代ロボット」
古代ロボットの残骸などが見られます。
渡渉の目印「赤テープケルン」
赤テープケルンは、「水かさにもよるけど、ここ渡渉したらいいんじゃない?」っていうポイントにありました。
安心の人工物「よじ登る吊り橋」
よじ登る吊り橋。
気持ちいい沢「渡渉につぐ渡渉」
水が冷たくて気持ち良すぎでした。
感動に包まれる「見渡す限りの大秘境」
見渡す限りの大秘境。
安心の人工物「ラストフロンティア」
歩くところが細めの吊り橋。
岩肌に小さな滝「ちょろりの滝(仮)」
岩肌に小さな滝。
大秘境の大冒険「色の深さ」
大秘境の大冒険。
目の前に広がる景色の、色の深さがすごいです。
シューズを履き替え「トレランシューズ」
沢の渡渉はここで終わりなはずなので、トレランシューズに履き替えます。
の、はずだったのですが、まもなくトレランシューズで渡渉します。
ルナサンダルは、砂が噛んだ状態で歩いていたこともあり、今回で履き潰します。
沢の水を濾過「飲み水を補給」
飲み水が尽きたので、沢の水を濾過して補充。
いまは修正済み「ルート間違い」
自分で作成したコースが間違っていて、だいぶ戻る必要があることがわかりました。
ずっと見ていたヤマレコのマップの情報が古かったようです。
正しいYAMAPのマップもダウンロードしていたので、それをたよりにルートを修正します。
三俣山荘の方と話をしたら、やはりこのルートは間違いということで、ヤマレコのサポートに報告して、いまは最低限の修正はされています。
そこそこの急登「標高を上げる」
ここから三俣山荘まで急登が続きます。登山道といっても、足あと程度の階段があるくらいだったり、ロープが垂らされている程度の場所が多いです。
生まれたての登山道でしか見られない光景でした。
言葉のまま、目印のみどりのホース。
あせらず進む「ガスと風と低気温」
ルート間違いで、時間と体力の大きなロスをして、日が暮れ始めました。
ガスってきて、風も吹いてきて、気温も15℃くらいですが、道は明瞭だし十分な装備はあるので、焦らずに進みます。
そこそこ体力の極限状態でしたが、あと2時間くらいで山小屋に着きます。
三俣山荘「安心の赤い屋根」
赤い屋根が見えました。安心の三俣山荘。
テント泊の予定で道具を持ってきたのですが、部屋が空いていたので、素泊まりでチェックインしました。
テント泊分の荷物が重かっただけという、歩荷トレーニングなのでした。
2日目「朝焼けと山」
2日目は、4:00に出発です。
朝焼けと山。
野口五郎岳あたりです。
下山して猿。
ゴール地点「長めの吊り橋とトンネル」
長めの吊り橋と、長めのトンネル。
トンネルを抜けるとゴールです。
ほぼ同じルートで縦走していたグループと合流して、タクシーに相乗り。
ご一緒した方、ありがとうございました!
黒部の山賊
伊藤新道の歴史をより深く味わうなら、山と渓谷社から出版されている「黒部の山賊」です。
北アルプスの登山黎明期の昔話です。
Kindle Unlimitedにもあります。
スマホの電波も怪しい山小屋で、あらかじめダウンロードしておいた電子書籍を読むことが多いのですが、山小屋で読む本の中で1番楽しいのがこの「黒部の山賊」です。
この本の著者は、伊藤正一さん。
三俣山荘の元オーナーであり、伊藤新道を築き上げた人です。
周辺情報のリンクを、概要欄にまとめます。
関連リンク
復活 伊藤新道 | 北アルプス黒部源流 | 三俣山荘・水晶小屋
伊藤新道を築き上げた伊藤正一さんの長男、伊藤圭さんのインタビュー動画。
山小屋オーナーが描く、北アルプスの未来【三俣山荘・ネオアルプス代表 伊藤圭インタビュー】
伊藤新道の再開通に向けたプロジェクトの意義【三俣山荘】
北アルプス登山の黎明期の昔話。
読み物として、伊藤新道だより。 TRAIL CULTURAL WEBMAGAZINE TRAILS(トレイルズ)
#02 オンラインストア「伊藤新道ギア」の立ち上げと、「湯俣」の視察。
#04 自然に翻弄される「湯俣山荘」と絶対に必要な「伊藤新道の避難小屋」
コースの詳細
アクセス
行きの裏銀座登山バスと、特定タクシー
バス:信濃大町駅→七倉登山口
タクシー:七倉登山口→高瀬ダム
帰りの裏銀座登山バスと、特定タクシー
タクシー:高瀬ダム→七倉登山口
バス:七倉登山口→信濃大町駅